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自衛隊のイラク派遣の実態とはいかなるものだったのか?~前代未聞の金品で安全を買う軍隊~

安全確保のため有力部族優遇

 イラク南部のサマワにある陸上自衛隊の旧宿営地に入った。イラク軍のサマワ駐留司令官フセイン・ズウェイド准将は、7月の自衛隊撤収の模様をこう語った。

 「自衛隊は、引き継ぎ式もなく逃げるように出ていった。・・・・・・」

 宿営地の管理を引き継いだ後、准将は地主に「自衛隊と同じ処遇をしろ」と詰め寄られた。彼らの話を聞いて驚いた。ある地主は自衛隊と合意したとする年額約3千万円の土地謝礼の協定書を見せた。別の地主は「宿営地に砂利を納入して30万ドル(約3500万円)を得た」と訴えた。

 地主はみなザイヤード族の一員だった。サマワのあるムサンナ州で最も力を持つ部族だ。「自衛隊は金を使って部族長に様々な便宜と事業契約を与えた。ザイヤード族から運転手、護衛、清掃作業員も雇っていた。代わりに安全を得ていた

 サマワで自衛隊は一人の犠牲も出さなかった。強力な部族杜会が、自爆テロなどに訴える武装勢力の接近を食い止めた。ザイヤード族はその中核にいた。

 サマワの反自衛隊勢力は・・・・・・04年に米軍との衝突に連動して、自衛隊の宿営地への迫撃砲攻撃も始めた。同年夏に米軍とは停戦で合意したが、その後も自衛隊への攻撃は続いた。・・・・・・

 自衛隊は有力部族長の地元の道路を舗装し、学校を改修し、医療センターをつくった。地元では部族長への「贈り物」とみなされている。

 サイヤード族の有力者の一人に・・・・・・リサン・ムタシェル氏(40)がいる。自衛隊はリサン氏の家の前から幹線道路とつながる1・5キロの舗装工事を行い、撤収一カ月前に完成した。・・・・・・リサン氏は「自衛隊が到着した時に、部族を組織して宿営地の周りで自主的に護衡をするなど、自衛隊を助けてきた」と主張した。

 ・・・・・・宿営地に向けて繰り返しロケット弾が発射されても自衛隊は駐留を続けた。部族を取り込みサマワを「非戦闘地域」に維持することが、最大の目的となっていった。イラク国民のための復興支援事業が、自衛隊がイラクに踏みとどまるための道具になってしまった

 (編集委員・川上泰徳)

    朝日新聞 06/9/1()朝刊

      「サマワからの報告≪下≫」

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