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◆いじめ自殺 我慢せず学校から逃げよう

雨宮 処凛(あまみや かりん) 作家

 北海道福岡県など各地でいじめ自殺が相次ぎ、学校や教育委員会の対応が批判を浴びている。助けを求める声に耳をふさぎ、事件などなかったふりをする―。彼らの対応は、私がいじめに悩み、自殺を考えていたあのころと、何も変わっていない。

 いい先生が一人もいないわけではないが、学校や教育委員会に何かを期待しても、ほとんどは裏切られて終わる。傷つき、最後に死を選ぶよりは、一刻も早く学校から逃げ出そう。

 私へのいじめが始まったのは、中学2年の夏のことだった。所属していたバレー部で、3年生の引退をきっかけに、プレーが下手で足を引っ張っていると、みんなから無視されるようになったのだ。

 失敗するとボールをぶつけられ、「パシリ」としてジュースの買い出しにも行かされた。何よりつらかったのは、昨日までの親友がいじめる側に回ったことだ。いじめに加わらなければ、自分がいじめられる。学校という「弱肉強食」の世界では、友情なんてガラスのようにもろい。

 顧問の先生は気づいていたが見て見ぬふりだった。以前に、やはりいじめに遭っていた同級生が、この先生に相談したことがある。彼はウンザリした顔でいじめた側の生徒を呼び出し、「当事者同士で話し合え」と命じてどこかに行ってしまった。彼女はその場で袋だたきにあった。先生なんて信用できなかった。

 だからといって、家族にも打ち明けられなかった。親や弟たちに、自分がいじめられるような人間だなんて思われたくなかった。気づくと、夜中に部屋で「私はいじめられてるんじゃない」とつぶやきながら、何度も手の甲をコンパスの針で突き刺していた。

 ある日、橋の上から濁流に飛び込もうとして、我に返った。自転車に乗っていて、無意識に車道を走る車の前に飛び出したこともある。死は甘い誘惑だった。学校に行くことの方がずっと怖かった。

 自殺の衝動は、いじめが始まって数カ月後に部活をやめたことで治まった。あのまま我慢して続けていたら、どうなっていただろうか。

 だから、もう我慢するのはやめよう。いじめられていると親に言い出せないなら、仮病を使ってでも学校を休もう。それでも無理に学校に行かされそうになったら、部屋にカギをかけて籠城(ろうじよう)しよう。

 もちろん、親や家族が気づいてくれれば、もっといい。いじめられていると、世界中から自分の存在が否定された気分になる。家族に認められたことで、自殺を思いとどまったという人は多い。

 親は学校に怒鳴り込もうとするかもしれないが、それで必ず解決するというわけじゃない。それより、旅行にでも連れ出してくれて、違う風景の中で「何があっても愛しているよ」と言ってくれたら、どれほど救われるだろう。

 一連の事件で、教育再生会議や文部科学省、教育委員会は、再発防止策を検討している。議論に意昧がないとは言わないが、時間がかかるし、制度を改めれば解決するというわけでもない。

 いじめの解決法に正解はない。ただ、今になってみると、私をいじめた、くだらない人間のために死ななくて、本当に良かったと思う。

75年生まれ。元愛国パンクバンド「維新赤誠塾」ボーカル。著書に「バンギャル ア ゴーゴー」「すごい生き方」など。

朝日新聞(06/11/11)朝刊「私の視点」

引用者注 : この文章が新聞に掲載されたのは、大津市中学校いじめ自殺事件がおこった<11(H23).10>5年前のことです。

そして、雨宮さんは、大津市中学校いじめ自殺事件が社会化したのちも

同じこと.jpgを発言しなければなりませんでした。

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