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ハゲワシと少女

 ・・・・・有名な一枚の写真( 引用者:「ハゲワシと少女」)・・・・・今にも死に至りそうな痩せ衰えた幼児がうずくまり、その横にハゲタカが舞い降り、子どもの死を待っているように見える写真・・・・・カメラマンはケヴィン・カーター、一九九三年にスーPhotoダンで撮影されたこの写真は、ニューヨーク・タイムズに掲載され、翌年にピューリツァー賞を受賞した。子どもの異様に細い手足と乾いた土地、それに無表情なハゲタカの構図を思い出す人も多いだろう。この写真は「飢餓のイコン」となった。社会に訴えかけ社会を動かす力を持っていた。しかし、この写真を撮ったことによって、ケヴィン・カーターは批判にさらされることになった。写真を撮る前に、なぜ子どもを助けなかったのか、という批判である。そしてピューリツァー賞受賞の三ヶ月後、三三才でカーターは自殺してしまう。カーター自身が自殺に至るまで苦しみの中にあったことが、後に明らかにされる。苦しみの場面の写真を撮ることは彼自身の苦しみとなっていた。世界にはたくさんの苦しみがある。そのたった一つでさえ、責任を持って受け止めることは大変なことだ。聖人のように、多くの人の苦しみに向き合うことはさらに困難である。世界のたくさんの苦しみを自分は理解している、ように思うのは、薄められた、歪められた形でしかそれを見ていないからである。震災の苦しみだって基本的に同じことだ・・・・・

 「聖人になれといわれてなれなかった時、人は自分を恥じるのではなく、聖人を非難することで自分のふるまいのアリバイを作る。聖人への共感と反発はじつは紙一重なのだ。ケヴィン・カーターの写真は実際はピューリツァー賞に値する名作だった。われわれの置かれた状況を見事に説明していた。見る者は惹(ひ)きつけられると同時に居心地の悪さを覚え、苛(いら)立ち、それを写真家にぶつけた。この光景を見よ、と示す指に歯を立てた。」・・・・・

 ~書評「他者の苦しみへの責任(A・クライマンほか著)」(小西聖子評)<毎日新聞(11.5.29)>より~

注 : 有名な一枚の写真の鳥が書評では「ハゲタカ」となっていますが、wikipediaの脚注では「ハゲワシ」だろうとしています。

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