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原発の使用済み核燃料の最終処分場「オンカロ」

毎日新聞 2013年02月01日

発信箱 : ムーミンの国の処分場

青野由利(論説室)

 久々に「ムーミン谷の冬」を読みながらフィンランドに向かった。季節もちょうど1月。といっても行く先は「ほのぼの」ではなく、原発の使用済み核燃料の最終処分場「オンカロ」だ。

 映画「100、000年後の安全」で話題を呼んだ世界初の施設は、ヘルシンキからバスで約4時間。2基の原発と建設中の1基が並ぶオルキルオト島に建設されている。地下420メートルまで掘ったトンネルの先に埋設施設を造り、約100年後に処分を終え、入り口を封じる。やがて「忘れられた施設」となり、放射能が減衰するまでの10万年を静かに待つ、という構想だ。

 知りたかったのは、どの国も頭を悩ませる施設をなぜ地元が受け入れたか。繰り返し耳にしたのは、20億年近く前にできた安定な「地盤」と、「STUK」への信頼だ。日本でいえば原子力規制委員会。確かに独立性の高い強力な機関に思えたが、与党の一角を担う緑の党の議員、オラス・テュンキュネンさんによると、「民主主義の歴史が浅く、市民が権威を信じやすい」というから、単純な話ではない。

 日本は地盤がまるで違う。規制委への信頼だけで納得が得られるとも思えない。そのまま参考にはならないが、一方で、処分場とセットでなければ原発が動かせない基本姿勢には学ぶ点がある。最終処分のめどがないまま、原発を増やしてきた日本の政策は、世界の常識ではない。

 オンカロの映画を作ったデンマーク人のマッセン監督は「何世代も先にこういう施設を残すとはどういうことなのか、いっしょに考えたかった」と語っていた。原発を始めた国として、私たちも「10万年」を避けては通れない。

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