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天皇・皇后ご夫妻の第3回私的訪問

  <14(H26). 5.25 記>

▽14(H26). 5.21は「こんな日もあるのか!」 と思わず叫びたくなるほどビッグなニュースが重なった日で、<①厚木基地騒音訴訟 夜間飛行差し止め認める(報道続報) ②大飯原発 運転再開認めない判決(報道続報) ③竹富町 教科書単独採択地区に決定(報道続報)>という大変うれしいニュースが3つもありました。が、実はこの日、もう1つ注目すべきニュースがあったのです。大手メディアは大きく報じることはありませんでしたが、地元メディアは2日間連日報じました。

▽そのニュースとは「天皇・皇后ご夫妻が、公害の原点たる足尾銅山鉱毒事件の舞台を私的に訪問された」ことです(報道1報道2報道3報道4)。

▽ご夫妻の私的旅行(訪問)は昨年から始まり、1回目は昨年4月の長野県千曲市あんずの里、2回目は7月の福島県でした。私的旅行といっても1回目は宮内庁が提案したもので遠方1泊2日の気ぜわしいもの、2回目は被災地を訪問したことから準公式なもの(両陛下の福島ご訪問が“私的な”旅行となった理由.pdf)となったようです。それに対して、今回は、「足尾銅山の鉱毒で破壊された自然が回復しつつある様子を見たい」という強いご夫妻の希望でおこなわれました。

▽「公害の原点=近代日本の負の出発点」を「天皇・皇后が(公式訪問でなく)私的訪問した」――これは、ご夫妻の日本の現状に対する個人的な異議申し立てととらえることができます。「(富国強兵のためにその開発稼働が至上命令とされた)足尾銅山の鉱毒で破壊された自然の回復」は、「生命いのち ・ 環境・人権よりも経済 ・ 軍事 ・ 統制を優先すること」の愚かさを今に伝え、それに対する警告を発しています。そのような場を訪問することで、ご夫妻は、原発再稼働強行 ・ 集団的自衛権行使(解釈改憲強行) ・ 教育締め付け強化などの誤れる道を選択しようとしている動きに個人的な立場で反省を促しておられるのではないでしょうか。

 奇しくも、ご夫妻が第3回私的訪問を実行された日に、冒頭で記した、ご夫妻が念願されていたであろう「経済 ・ 軍事 ・ 統制よりも生命いのち ・ 環境・ 教育の自由を優先する」判決・決定がなされたのです。

▽ご夫妻は天皇・皇后であるがゆえ、政治的行為を実行することはできません。しかし、ご夫妻はもう80・79歳です。残された時間はそんなに多くはない。今のうちになんとか愛する日本が転落しないよう歯止めをかけておきたい。そんな想いから、政治的行為にならないよう、狭義の言語ではなく「身体言語」で(政治的)メッセージを発するために今回の私的訪問を実行されたのではないでしょうか。報道によれば、皇后は持病の悪化を押しての訪問でした。ご夫妻のこの訪問にかける想いの強さがわかります。

▽ご夫妻は、これまでも、政治的行為にならないようにしながら「(政治的)メッセージ」を発してきました。強く印象に残されているものは次の4つです。

  ①水俣メッセージ.pdf <「(今の日本は必ずしも真実に生きるということができる社会とはなっていないが、)やはり真実に生きるということができる社会をみんなで作っていきたいものだと改めて思いました。」「(今の日本は必ずしも自分が正しくあることができる社会とはなっていないが、)今後の日本が、自分が正しくあることができる社会になっていく、そうなればと思っています。」

  ②皇后「五日市憲法草案は文化遺産」

  ③041028kirikaeshi 天皇「国旗・国歌 強制でないのが望ましい」 .pdf <天皇のみごとな切り返しを写した写真→(クリックで拡大)>

  ④天皇「桓武天皇の生母が百済の王の子孫」.pdf

▽上記の①は、生命(いのち)より利潤・金(カネ)優先の動きとそれにより生み出されれる弱者切り捨てを、②は改憲の動きを、③は国旗・国歌強制の動きを、④は排外主義拡大の動きを、今もけん制するものとなっています。

▽天皇制に対して批判があることは承知しています。その上でなお、「私的訪問=身体言語」という政治的行為だという批判を回避する手法を用いて日本転落をもたらす政治の動きをけん制・批判する英知と良識ある天皇・皇后ご夫妻に対しては尊敬の念を持たざる得ません。上記の②に収めた文章に記載されていますが、天皇制から最も遠い地平にいる作家の高橋源一郎さんですら、皇后の言動に対して「体が震えた。」「(ことばをあやつるのが本分の作家であるにもかかわらず)ことばにならない思いを感じた。」と述べています。むべなるかなです。

▽「象徴天皇制」は第2次大戦終結時における国際的な、「天皇制を廃止せよ」という力と「天皇制を利用するため存続させる」という力のせめぎ合いの中で成立したもので、Wikipediaを読んでも確定した定義はないようですが、仮にその定義を「天皇・皇后が、日本国憲法が規定する日本という国のあるべき姿を世界に向かって全人格を持って示すこと」とするならば、現天皇・皇后はその役割を見事に果たしています。政権が「(都合が悪いからという理由は隠して)改憲せよ。」と叫び、それができなければ解釈改憲すると平気でいい、違憲的な法令(秘密保護法)を制定して憲法を遵守する姿勢がまったくない状況が続く限り、象徴天皇制の果たす役割には大きいものがあります。

▽昨年10月31日の園遊会で山本太郎さんは天皇に「直訴状」を手渡そうとしましたが、意図を達することはできませんでした。その行動については原発推進派からはもちろん、反原発派からも批判が出ましたが、このことをご夫妻は気にかけけておられたのでしょう。今回の第3回私的訪問で、ご夫妻は、明治天皇に直訴を決行するも警官に取り押さえられて失敗し、思いは天皇に届かなかった田中正造の直訴状を正造の故郷佐野市の郷土博物館でじっくりと見入られたといいます。これが、山本太郎さんへの返事となりました。

 

 

 

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