« ヨルダン軍パイロットがイスラム国に殺害された。今こそ「眼(睨まれたこと)には眼(殺傷でなく睨み返すのみ)を」      | トップページ | ニューヨークタイムズの風刺画(15.2.8) »

キリスト教国・イスラム教国はなぜ武力を行使するのか?欧米がイエスの教えを守り、中東諸国がイスラムの教えを守るとき、戦いは終結する。

▽次の事実を見れば、アメリカは事実上のキリスト教国である。

 ①国民の9割以上がキリスト教徒。

 ②大統領就任宣誓の最後に「So help me God.」(神よ照覧あれ)と付け加えるのが慣例。

 ③UsshuheiUskahei貨幣と紙幣<→右図(クリックで拡大)>には「IN GOD WE TRUST(我らは神を信じる)」と刻印・印刷されている。

 ④神の祝福の下に戦争をする<オサマ=ビンラディン(アルカイダとの戦争)についてオバマ大統領声明の最後の文をご参照>

▽イエスの最も大切な教えの1つは、「しかし、わたしは言っておく。悪人に手向かってはならない。だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい。(新約聖書 マタイによる福音書 第5章39節)である。また、こんな大切な教えもある。「イエスは『あなたたちの中で罪を犯したことのない者が、まず、この罪を犯した女に石を投げなさい。』と言った。これを聞いて誰も女に石を投げることができず、引き下がった。また、イエスも女の罪を許した。」(新約聖書 ヨハネによる福音書 第8章3節-11節)

 しかるに、オサマ=ビンラディン(アルカイダとの戦争)についてオバマ大統領声明を読めば、アメリカは「しかし、わたしは言っておく。悪人に背を向けてはならない。だれかがお前の右の頬を打つなら、そいつを殺してしまえ。」との、イエスの教えとは全く正反対のことをおこなっている。有志連合の中心・主導国としてイスラム国を空爆しているのも同様である。

 事実上のキリスト教国であるアメリカが、なぜ、イエスの教えに反することを大きな顔でやるのが疑問である(神よ許したまえ、といいながらやるのであれば理解できなくもないが)。

▽イスラム教国も同様である。

 イスラムの最も重要な教えの1つは、「生命には生命。眼には眼。鼻には鼻。耳には耳。歯には歯。凡ての傷害にも,同様の報復を。しかしその報復を控えて許すならば,それは自分の罪の償いとなる」(コーラン(クルアーン)第5章45節)である。「報復を控えて許す」ことこそがイスラムの教えであり、神の御心である。コーラン(クルアーン)は神の言葉をそのまま記したもので、「報復を控えて許す」は神の言葉である。

 しかるに、ヨルダンは、アメリカ主導の有志連合の一員としてイスラム国を空爆している。

 イスラム教国であるヨルダンが、なぜ、神の教えに反することを大きな顔でやるのが疑問である(神よ許したまえ、といいながらやるのであれば理解できなくもないが)。

▽非イスラム諸国では、キリスト教は平和を愛する宗教で、イスラム教は戦いを好む宗教というイメージが作られてきた。そんな不名誉なイメージを一新させるためにもイスラム諸国は、事実上のキリスト教国アメリカ主導の有志連合から離脱して報復戦争をやめ、武力を行使しない手段で問題解決に取り組んでほしい。それこそ、神に御心にかなうことである。

▽1776年の独立宣言により建国して以来、アメリカがショックを受けたのはたった2回だけ。1回目はベトナム戦争敗北(1975年4月30日のサイゴン陥落によってベトナム戦争終戦)。このショックは、その後の反資本主義勢力の衰退・崩壊(中越戦争など反資本主義勢力の分裂/中国・ベトナム等での資本主義経済の導入/ソ連・東欧諸国の経済的衰退と崩壊)によって癒され、冷戦終結(1989.12)とソ連崩壊(1991.12)でアメリカは、唯一の超大国として全世界にその影響力を行使し、グローバリゼーション(世界中を市場原理で覆い尽くす)を推進し始めた。それに対して各国で反発が惹起された(やがてその反発は、ラテンアメリカでの相次ぐ反米政権の誕生、日本でのTPP反対運動などをもたらすことになる)。

 こうしてアメリカの影響力行使への反発が高まる中、その反発の大きな現れとして2回目のショックがアメリカを襲う。9・11である。これは、これまでアメリカが世界各地で行使してきた「暴力」と同じ「暴力」(影響力を維持・拡大するための武力行使を「暴力」と表現する。以後同じ)がはじめて「(冷戦時代の)西側」(北米・西欧・日本)で行使され、せっかく冷戦終結によりアメリカの「暴力」独占が実現したのにそれが崩壊した点で、アメリカにとっては最悪の画期をなすものであった(「9・11」の世界史的な意味ご参照)。前世紀に帝国主義国と呼ばれた国家で、その中枢部を攻撃されたことのない唯一の例外国家がアメリカであったが、史上初めて中枢部を攻撃されたこともアメリカにとって最悪の画期をなすものであった(ベルリン・パリ・ローマ・ロンドン・レニングラード・東京は全て攻撃された経験を持つ)。

 9・11にいわば逆上したアメリカは、アメリカの「暴力」独占を否定する勢力(アメリカはこれをテロリストという)に対して「国家テロ」を行使していく<「国家テロ」については、後藤健二さんの死を犬死(無駄死)にさせないために。に記載の「テロリズム(テロ)の再定義」ご参照>アフガニスタン侵攻イラク戦争、そしてイスラム国への空爆である。

▽十字軍時代、ポルトガル・スペイン・オランダ・イギリスによる世界植民地化時代、帝国主義諸国による世界分割支配時代、米ソの冷戦による世界分割統治時代というように歴史は展開してきたが、十字軍以来、キリスト教国またはキリスト教徒が多数の国が「暴力」を行使してきた。「暴力」を行使してきた国でキリスト教国またはキリスト教徒が多数の国でなかったという意味での例外は、ソ連と日本であるが、ソ連は成立前はキリスト教国であり崩壊後はキリスト教徒が多数の国である。日本は、帝国主義諸国による世界分割支配時代は「暴力」を行使したが、現代は「暴力」を否定する憲法第9条の国となっている。

  かつて「暴力」を行使した国で「暴力」行使を否定する国となっているのは、キリスト教国またはキリスト教徒が多数の国にあてはまらない日本だけであるという事実を見ると、キリスト教国またはキリスト教徒が多数の国が「暴力」行使を否定する国になることを期待するのはなかなか困難だ。しかし、イスラム諸国は、「暴力」を行使される国ではあったが、行使する国ではなかった。従って、イスラム諸国は、イスラムの教えに従って「暴力」行使を否定する国になることはできるはずだ。かつて「暴力」を行使していた日本でもできたのだから(同じ敗戦国でも、キリスト教徒が多数の国であるドイツ・イタリアはできなかった。しかし、両国は有志連合には参加していない)。

 有志連合に参加しているイスラム諸国(サウジアラビア・アラブ首長国連邦・バーレーン・ヨルダン)は、有志連合を主導する、キリスト教徒が多数の国(米・仏・英など/かつて、仏・英は現イスラム国支配地域を“分割支配=「暴力」行使”をしたことがある。歴史は繰り返すである)に同調することなく、神の教えに従って有志連合を離脱して武力を行使しない手段で問題解決に取り組んでほしいと切に願う。

 事実上のキリスト教国であるアメリカは、なぜイエスの教えを守らないのか?という疑問が解けるのを待っている時間はない。イスラム国問題(イスラム国と有志連合双方の武力行使で毎日犠牲者が出ていること)の解決(双方の武力行使をやめさせること)は待ったなしなのだから。そのためには、イスラム諸国が有志連合を離脱することで、イスラム国爆撃の大義(行動のよりどころとなる道理・根拠)を喪失させてほしい。

▽欧米がイエスの教え(だれかがあなたの右の頬を打つなら、左の頬をも向けなさい)を守り、中東諸国がイスラムの教え(報復を控えて許すならば,それは自分の罪の償いとなる)を守るとき、戦いは終結する。

 自らは他者によって生かされているとの縁起の法を根本の教えとする仏教の国で、打たない・報復しないを国家原理とするとの憲法第9条を持つ日本は、イエスの教えを欧米に、イスラムの教えを中東諸国に説くことができるはずである。

 

« ヨルダン軍パイロットがイスラム国に殺害された。今こそ「眼(睨まれたこと)には眼(殺傷でなく睨み返すのみ)を」      | トップページ | ニューヨークタイムズの風刺画(15.2.8) »

無料ブログはココログ