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教育の反動化・・・学校教育力の低下をもたす制度・法律等の成立、学習指導要領改訂  

         このページは、10 学校・教育・子どもサポートに所収されているものです。

 戦後日本の教育は、旧教育基本法の前文に記されているように「日本国憲法が宣言した、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献するという理想を実現する人間」を育成する力をもつものとして出発した。

 つまり、「日本国憲法が宣言した、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献するという理想を実現する人間を育成する力」が学校教育力である。

 しかし、もとより日本国憲法の宣言する理念を否定したい、政権交代期を除く歴代の政権与党は、かかる教育力を低下させるための、次の3つを狙いとする。下記のような<制度・政策、それらを策定・実行するための立法・指導要領の改悪>を行なってきた。そして、それを正当化するため、改憲がかなわない中、06(H18)年に、教育の憲法たる教育基本法の改訂を強行し、それをてこに、さらなる教育の反動化を進めている。教育反動化を推進する勢力とそれを阻止せんとする潮流とのたたかいは、武力行使なき内戦の主戦場の1つである。

(1)教育反動化の3つの狙い

  ①学校を児童生徒が「思考する」人間(基本的人権を守り行使するにはどうすればよいか等を考え実行する人間)として成長していく場ではないようにしていく(=学校を「思考しない」人間をつくっていく場とする)

  ②教職員が児童生徒をして「思考(して表現)する」人間 として成長していく教育が安心してできる学校ではなくしていく

  ③教職員も「思考(して発言)する」人間 ではなくしていく(=「思考しない」人間にしていく)=教員を劣化させていく・・・教員の劣化の極みの例ミラー

                                     参考 : 学制百二十年史(文科省)

(2)(1)を狙いとする、制度・政策、それらを策定・実行するための立法・指導要領の改悪

  高校国語科解体(「文学抹消」)<2022.4より実施>・・・ご参照ミラー 

     従来の教育反動化は、人間の生きるプロセス<①ただ生きる、粗野な感情・情緒→②情念(豊かな感情・情緒)をいだく→③「思考する」→➃言動する(政治権力批判も含む)>の中の②の段階までに人間の生き方をとどめようとするものであったが、「文学抹消(実用書教育)」は、<感情・情緒を排除して読み書きしなければならない実用書のみの読み書きを、豊かな感情・情緒が養われるべき学校で強制することで、人間の生き方が、③に進む契機(きっかけ)を持つ②にいかないようにする>ことを狙いとする。これまでは、③と➃の人間が出現しないようにする施策が進められてきたが、ここにきて、念のために③に進む契機すらもたせないようにする施策が導入されたといえる。

 ◎ 英語教科小学校導入 <2020.4 小学5・6年に導入>

 道徳教育の導入<小学18.4/中学19.4 導入> ・・・道徳の教科化 懸念は何かミラー教員たちも思考停止に…「道徳」で混乱する教育現場<ミラー>

 ◎ チーム学校運営の推進等に関する法律案<議員発議 2017.6 継続審査> : この法律の早期制定を求める意見書についての反対討論

  教員管理の強化(=学校教育力の低下)をもたらす制度・法律として、「教育勅語の強制」が企まれている(ご参照.pdf<2017.4> )。

 ◎ 教員管理の強化(=学校教育力の低下)をもたらす制度・法律として、「教育公務員政治的中立逸脱処罰法(制度)」や「教員国家免許制」といったものがつくられようとしている(報道記事.pdf<16.12>・ 解説記事<16.12>) 。

 ◎ 驚愕すべきは、政権政党は密告フォームの設置まで実施している(情報記事<16.7>/続報続報続報.pdf)。教職員管理体制の強化はここまで(戦前回帰したといえるほど)進んでいる。

   学校間競争強制  教育現場に「競争原理」を導入して失敗したスウェーデン<16.11>参照

  教育委員会制度改革 <2015.4 施行>

 ◎ 校内人事選挙制の剥奪(校内人事校長任命制の強制)<2014.6 校内人事の決定及び職員会議に係る学校内の規程等の状況について(通知 26文科初第424号)>

 ◎ 教育委員会制度改悪<2014.4>ご参照ミラー

  民間人校長制導入 : 民間人校長制度が教育を荒廃させる理由「11分の6の衝撃」<13.9>あり)

 ◎ いじめ防止対策推進法 <2013.9 施行>

  教員免許更新制導入<2009.4>

  管理職と教員の階級制・・・本来教育という場には「管理」職は不要なのに、こんなに沢山の管理職とその補佐職が蠢く学校は異常<98.4 指導教諭 07.6 主幹教諭 08.4 副校長 各設置>   

 国一斉学力テスト実施<2007.4> 「全国一斉学力テスト」反対ミラーをご参照

 ◎ 教育基本法改訂<2006>

  教員評価制度導入(2000)  教員勤務評定反対訴訟をご参照

 ◎ (教職員の情報共有・議論・意志決定の場であった)職員会議の形骸化(校長の単なる諮問機関化・補助機関化<2000.1 学校教育法施行規則改訂>

  高校社会科解体(1982年)

 ◎ 主任制導入<1975 導入>  主任制反対ご参照

 教頭職法制化<1974.9>

  教科書採択権の教員(各学校)からの剥奪<1963>

 ◎ 勤務評定実施通達<1957>

 ◎ 教育委員会公選制廃止<1956>

  教科書検定による教科指導拘束(1947 導入)

(3)教育の反動化の概観

教員の多忙化・苦悩化深化<※1>

教員の心身劣化とエンパワーメント(自発的・自主的な力/上位の者からの指示待ちと真逆)低下<※2 →学校教育力の低下

もたらしたのは、

➀教員が反対する施策・方針等や学習指導要領改訂の強行

 ② 教員が要求する教育の施策・方針等の否定

 ③学校内ヒエラルキーの強化をも背景とする教員の自主的な教育実践環境の崩壊

  これら➀~③は、教育の反動化そのもの、もしくは、それがもたらしたものである。

 <※1>苦悩する現場教員・教員経験者の意見・声

※2 教員の心身劣化とエンパワーメント低下の実態

 ①文部科学省が16年度に行った公立小中学校の勤務実態調査では1日の平均労働時間が11時間を超え、小学校教諭の約3割、中学校教諭の約6割が「過労死ライン」に達していた。経済協力開発機構(OECD)の調査でも、日本の教員は約8割」が仕事に満足しつつ、「もう1度仕事を選べるとしたら、また教員になりたい」と答えたんは半数」あまりで、他の参加国より低かった。

 ②今、多くの國が掲げる教師像は「社会を変革する主体」です。貧困や差別など解決すべき課題は多く、公教育への期待は高まっています。国際調査で志望動機を「社会的弱者の手助けができる」「社会に貢献できる」と答える日本の教員の割合は他国より低く、特に若手で下がっています。<百合田真樹人・「教職員支援機構」上席フェロー>

 ①・②は、「いい先生 どう養成」<朝日新聞(2019.9.1)>からの引用ですが、➀を見ると、日本の教員は、憲法で保障された自らの基本的人権(すべて国民は、法律で定められた賃金、就業時間等の勤労条件の基準に基づく勤労の権利を有し、それを守るために、団結する権利と団体行動をする権利も有す。)を守ろうとする意志が希薄で、守れていないことがわかります。

 自らの基本的人権を守れない教員が、基本的人権が尊重されている学校をつくれるはずがありません。ですから、いじめ、体罰、それらがある学校には行きたくない行けないという登校拒否(何年か前に不登校にいいかえられましたが、やはり、基本的人権の侵害がある学校には自らの基本的人権を守るために行くことを拒否する、ということで登校拒否と言う方がよいのではないでしょうか)が、いつまでたってもなくならず、むしろ増加するのです

 ➀と②を見ると、教育反動化の狙い、つまり、「思考する」人間(基本的人権を守り行使するにはどうすればよいか等を考え実行する人間)をつくらない、は見事に成功していることがわかります。

 以上から、日本の教員のなすべきは、教育の反動化に抗して、自らの基本的人権を守り、楽しい学校をつくっていくことです・ 

(4)教育の反動化の結果

 教育の反動化→教員の心身劣化とエンパワーメント低下→「思考できない」人間の育成、楽しくない学校(いじめ・体罰・強圧的指導・競争重視・不条理校則等のある基本的人権が尊重されていない学校)の増大→児童・生徒から登校を拒否される学校(いわゆる不登校の児童生徒から人権侵害が横行する収容所だと断罪された学校/大人ではない子どもであるいわゆる不登校の児童生徒にとって、死ぬ方が楽だと思わせるほどの怖い学校)の増大

(5)教育の反動化の効果 

➀「ブラック校則反対 6万人の署名提出」を報じた朝日新聞(2019.9.2)は次の記事を記していますが、太字部分に教育の反動化の効果が着実にあがっていることがわかります。

   スーパーバイザーを務める、NPO法人「ストップいじめ!ナビ」代表で評論家の荻上チキさんは署名提出後の会見で、「ここ30年(引用者:1989年ごろ以来)で校則は強化されている」と指摘。教員が多忙化している中で一律に管理できる校則が活用されていることなどを背景に挙げ、「社会に出たら理不尽なものでも耐えなければいけないとの声があるが、本来の教育理念から離れている」と改善を求めた。

若者に反知性主義が浸透し、その右傾化(=保守反動政党支持、革新政党毛嫌い、ヘイト化等)や思考不全(政治や経済について述べるのはダサく、「意識高い系」と揶揄されて煙たがられる、物事を社会科学的に考えるのが苦手、等々)が進み、物事を社会科学的に考えられなくなった若者の一部は「ネトウヨとなっていき、従来の「老人は保守的、若者は革新的」は「若者は保守的、老人の方が革新的」へと逆転していきました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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